連作「歌う川」より その4/岡部淳太郎
あり
それがどんなに数えきれないほど膨大な量
であっても
その壁を破ることはない
宇宙は混沌に満ちており
宇宙は秩序で整えられている
同じように
何千
何万
何億
という歌の音符が
この空を飛び回っていても
膨大な種類の旋律には限りがある
(だがそれは悲しむべきことではなく)
人が
歌の喜びを無限に享受するためには
目醒めよ
この地上の川が
天の大きな川とつながっているように
すべての歌は宇宙の中心の大きな
基本歌につながっている
宇宙は歌で満ちており
宇宙は静寂で整えられている
六
旅は始まる
またもうひとつの
旅
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