夢を見たら書き込むスレ2[520]
2009 02/22 13:35
川村 透

1.
 夢の中の、僕たちの日常は、せんそう、になっているらしい。小学校の講堂に集まった僕たちはまるでPTAや自治会の会合みたいになごやかに武装を確かめ、銃にタマをこめたり祭りの備品をcheckするみたいにメンテナンスをしている。そこにどうやら「敵」が奇襲をかけてきたらしい、無秩序に戦闘状態に陥る。

 僕は先輩と呼応しながら弾幕を張ってゆく。ひとしきり戦闘がカタがつき、僕と先輩は「敵」の正体を探るために学校の外に出る。会長さんがいいわけをしている声が聞こえ、タタタタンタンタタタタンと処刑されているようだ。大地はうねり轟き「敵」は見えない。飴のように曲がったガードレール。先輩の足はすこぶる速い。僕たちは自然と見晴らしのいい塔を目指している。アスファルトが風にそよぐ布のように踊る。僕は特殊な「走法」で地を這うように速度を上げることに成功する。「かつて身に着けた技」が蘇ってきたみたいだ。瞬く間に先輩のすぐ後ろにまで追いついた。

 塔にたどりつく前に、まち、は溶解してゆくみたいに見える。それは「何かの法則」に従った「無秩序」なんだろうか。燃えるような津波に似た水の壁、沸騰するコンクリート、港の船が立ち上がりワルツを踊る。人ではない。よろこばしい混沌でもない。異界が笑うように口を空けて別荘を変形させてゆく。島が熊のように身を震わせている。

 僕たちはメリーゴーランドにしがみついた子どものようにただ、無力だった。

2.
 夢の中で、僕はツタンカーメンのように梱包されたまま手術を受けた。夢の中で夢を見ていたのかもしれない。僕は、赤く開かれてた。意識が消えてゆく。

 目覚めた。

 梱包が解かれた僕の前に父がいて、母が笑っている。父に手をのばすと、おどけたようによろめいて見せて、「こんなに元気になったからもう大丈夫」って感じで、笑う。主治医の先生からTV電話が入る。ニコニコ笑っている。僕は猛烈におなかが空いてむっくりと起き上がる。歓声と拍手が聞こえる。ふと気づくと僕たちは、葡萄を一房ずつ手にしていた。それを頬に寄せ、いつくしむように一粒、また一粒と頬張ってゆく。お湯のように温かく甘いものが頬にあふれてくる。こんこんと、人のカタチをした紫の泉になって、僕はゆっくりと立ち上がる。かみ、とやら、が、睫のところに引っかかってジタバタしているようだ。僕の瞳も泉になる。かみ、とやらは瞳の中を流れて浮かび上がり、したたり落ちる雫とともにゆっくりと、どこかの高みへ、登ってゆく。ハロー、ハロー。ありがとう。また、会おう。
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