そろもん(家庭の事情の話)
みつべえ
毎年、盆と正月の休みに、妻は子どもたちを連れて新潟の実家へ遊びに行く。その日から私は自炊をはじ
める。結婚以来の習慣である。それにはいくつかの理由があるが、もっとも大きな要因は私の特性を、妻
がよく知っていることである。とにかく年に何日かは誰にもまったく干渉されない生活が、私には不可欠
であるということ。自由と孤独を求めながら同時にその対極にある家庭の束縛も手放さない、という欲張
りでワガママな私に、妻は適度に息抜きを与え、その手のひらの上で飼ってくれているのかもしれない。