新年詩二〇〇七
黒田康之

青い月が遠くから見ている
私たちを
真昼間の
ふとした瞬間
あらゆる雲がなくなって
夏にはニッコウキスゲが咲く
あの稜線があらわになって
その雪肌を見下ろすように青い月が
遠くの空の上から
ゆっくりとしたスピードで
なにやら暖かいものを
日差しとは違う
しみ込むものを地表いっぱいに運んできた
私たちはその恩恵の
ほんのわずかを肩に乗せ
こうして同じ時間を
つかず離れず過ごしている
お前は白い
私は黒いコートを着て
同じものが
同じように
しみ込む時間を生きている
おそらくきっと
帰り道はさっきより
もう少しまっすぐなような気がしてくる
あの大切な青い月は
あんなにもおぼろげで
あんなにもちいさく
何よりも確かだ


自由詩 新年詩二〇〇七 Copyright 黒田康之 2007-01-02 00:01:29
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