二十三夜
千波 一也

降りそそぐものは、波です

満ちてゆく潮風に
しおれることも
ときには
開花


白銀は、あこがれですか
うらがわですか

ゆるやかになきます
あの、下弦



背中をなぞることが窓、でした

やわらかな胸には
皐月のあやめ

あやめ、てからまり
さきほこる、つの
たつ、みさき



ゆくえを問う耳が
海鳥なのかも知れない、と
かごはねむります

揺れてねむります



色濃いゆめを光にかくして
牙をはじらう
鱗のよる、

みな、も欠けてはいませんか



降りそそぐものは、波です

あたらしく使い古すたびに
舟のきしみが透けてゆきます、


音色はこども
いつまでも、こども



孤独にふれたなら
あふれてゆくのが涙です

迎えても
さらっても



自由詩 二十三夜 Copyright 千波 一也 2006-12-27 15:17:13
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【月齢の環】