防波堤にて蜃気楼に弄ばれる
北村 守通

オキアミ臭くなった手じゃぁ
硬くなった握り飯を
頬張る気すら薄れちまう

オキアミ臭くなった手を
イソメの汁のついた手を
ごしごしやったタオル取り出し
額の汗を拭いてみるが
あれよ

あれよ
あれなのさ

そいつが
瞳に食込んで
そいつが
唇に滴り落ちて


  海が濁る
  
  ラインがぶれる

  竿先がぶれる

  ラインが戻る

  竿先が戻る

  ラインが




             力なく空中を漂っている



自由詩 防波堤にて蜃気楼に弄ばれる Copyright 北村 守通 2006-12-27 00:09:41
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