190cm




 取り合えず、洗面所に行け

 顔洗え

 洗ったか?

 じゃあ、足元を見ろ

 何が見える
 

 汚いカビか 汚れた足か 割れた爪か

 よく見ろ
 

 そこには きっと

 いままでに放棄した沢山の道が横たわっているのではないか

 捨ててきたものが転がっているのではないか

 "もしかしたら”が漂っているのではないか

 踏みつけて来たものが虎視眈々とこちらを伺って

 恨みつらみを投げかけてくるのではないか

 名前も思い出せないようなモノやヒトが行き来しているのではないか

 沢山のチャンスが闇に呑まれているのではないか

 




 仰げ 頭上を

 何が見える

 
 フリッカーの激しい蛍光灯か 雨漏り激しい天井か

 よく見ろ

 今まで欲しかったものが見えないか

 ふわふわ もやもや 形を作り始めていないか

 遥か天上に点のように だがしかし確かに見えないか

 手を伸ばせば触れる気がしないか

 眼が眩んで見えなくなっても 感じないか

 胸が高鳴らないか

 


 じゃあ 最後に

 前を見ろ



 そうだ それが鏡だ







 何が見える






 何が見える


 



 何が見える







自由詩Copyright 190cm 2006-12-24 21:10:27
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