蛾
190cm
蛾は、何故あの月を目指さないか
あの燦々と煌く夜空の星を愛でないか
愚かか
人の造った軽薄な灯にたかり
一箇所に吹き溜まる
昔、お前らはもっと美しかったのではないか
決して辿り着けぬ永遠の夜空を羽ばたいた
月に照らされるお前たち 幻想的だったろう
お前らには夜空の星が地に落ちたようにでも見えるのか
安っぽい蛍光灯の周りを彷徨って
同じところをぐるぐる飛んで
余りにも狭いその空を 仲間と群れる
それ以上奥が無い事を知りつつ離れられない
結局 いつの間にかみんなで地に落ちる
嘘の空 嘘の夢
同じところで堂々巡り
押し合いへし合い叩き合い
お手軽に見つけた灯の代償
星を見失った蛾のさだめ
手頃で身近な与えられた月明かり
最近、お前ら、人間みたいだな