ほんとうに さようなら
月夜野

     ごめんねという言葉 のみ込んで
     ただ君の暮らしの一コマ 思い浮かべ
     何もしてあげられないこと 少しだけ恥じ
     あとはもう 口もきかずに
     別々の景色見ていた


     さよならという言葉 つぶやいた
     たとえ出会ったことが まちがいだとしても
     何も感じない出会いより 意味があったと信じ
     あとはもう 視線も交わさず
     光年のかなたへ飛び去った


     これでほんとうに さようなら
     手にした石ころ 川面に投げて
     きれいな気持ち 底に沈めた
     岸辺に水の輪 届いても
     振り返ったりは しないから


     行き場のない小さな哀しみが
     草むらの奥で震えている





自由詩 ほんとうに さようなら Copyright 月夜野 2006-11-29 23:57:05
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