回転ドアの恐怖
白糸雅樹

 とうとう、自動式回転ドアで死者が出たというニュースが新聞に載った。

 あれが登場し始めた頃は本当に怖かった。その前にあった、手で押すタイプの回転ドアも怖かったけれど、自動式のは容赦なく回っていく。杖をついている人や車椅子の人、目の見えない人はどうしているのだろうと本当に不思議だった。勿論、そういう人で上手に自動ドアに対応している人は沢山居ると思う。某駅のエスカレーターが、視覚障害の人に配慮していないという理由から地面に張る黄色い点字誘導ブロックが外され、エスカレーターを便利に利用していた視覚障害の人から抗議の声があがったことからも確かだ。

 でも、普段元気に歩いているくせに、時々足を引きずって他の人のテンポで歩けなくなる私は、どう対応していいか戸惑った。怒りを感じた。

 自動回転ドアはどんどん普及した。特に、病院に。

 ということは、お年寄りやこども、障害者からの抗議はないのだろう、他の方式のドアより便利なのだろう、と無理やり自分を納得させてきた。

 そうしたら、やはり。死者が出た。

 ひたすら回っていくドアは、愛情がない。

 重たくて開けづらいドアは、ちょっと立ち止まって後の人を待つ配慮を要求されてたのに。



散文(批評随筆小説等) 回転ドアの恐怖 Copyright 白糸雅樹 2004-03-28 04:35:45
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