汚染種八百
黒川排除 (oldsoup)

祖母はオレンジの光五つ隠し子守唄

昆虫の手足やわらかくかくかみなり

窓に映った雲にさらに窓が映りまたね

逆光に蠢く老人らのゲートボール

なくなるまで月から灰が降り続ける

死にゆくばかりの手の内埋める倒立して

一個の街が停電で書店だけ開く

ガレージそばで軋みだす妻の三輪車

もやからようやく爪先見えて少年期

無垢も手段跡形もなく口ずさみつくす

千尺の譜が坑道に尽きてゆく

苦にするものなくてほどかれる象形

雲ひとつ無い空にドアを閉めていく

編み疲れてくらやみへ銅を運ぶため

くすりくさい夕焼けは理科室の拡張

ためいきに混ぜて第三の海も吐く

集結する紳士は指から開く花

瞑想の平行線下の紙飛行機

夜の部に神社が浮かび上がり中止

川への道閉ざされゆくあてのない機械兵


川柳 汚染種八百 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-10-26 01:18:35
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