品詞の活用法
吉田ぐんじょう

品詞の群れが
淡青く固まって
規則正しく
埋まっている
あの砂浜の
崩れたお城のあたりに

それらは風化し
擦り切れて
最早
意味など成さないのに
皆が使いたがるのは
如何してなのか

錆びたシャベルで
深く掘ると
すきです
が出土した
すきです
は香水の匂いがした
誰かが遣って棄てたのだろうか
小さい歯型と
くちべにが付着していた

すきです
すきです
すきです
三回呟いても
合言葉じゃないから
何も起きない
ぱちっと割ってまた埋めた
すきです

すきでした
に変わって
ゆっくりゆっくり見えなくなった



自由詩 品詞の活用法 Copyright 吉田ぐんじょう 2006-10-16 20:33:17
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