適当な言葉
当麻完二

夢のよう 眠る傍に いる子犬

忘れてる 死ぬことを 忘れてる

赤い鳥 見えなくなって 飛べなくなって

音のする 少し先へ 歩いてく  

今日は 明日のことを 考える

何もない この部屋からも 何もない

山登る 川を下り 谷を降りる

遠い里 歩いていけば なお遠い

石の顔 人の顔や 牛の顔

かまわない どうなったって かまわない

好きでした あなたのことが 好きでした

雪にさえ 患う病 治りゃせん

パソコンの 磨り減っている キーボード

夜の淵 崖のような 真夜中で

テッシュを 片手にもって 後片付け

祖母の床 寂しい匂い 死の匂い

子の背中 小さいからと さする親


またねほら さようならほら さようなら


俳句 適当な言葉 Copyright 当麻完二 2006-10-16 19:43:01
notebook Home 戻る  過去 未来