N極
長谷伸太


何もわからなくなってしまった

一緒にならんでいたんだ
同じ方角を見ていたんだ

いつも真直ぐに前を見つめていたんだ
右から左へ太陽や月が移っていくのを眺めながら
冷たい風のやってきた向こうには
きっと綺麗なものが沢山あるだろうね
わくわくするような暖かい風が
スキップしながら吹いていくこの先に
一体何があるだろうね

前ばかり見ていたある日
ある日はじめて
私は君を
君は私を
向かい合って見つめたんだ

同じものを見ていたのに
いつも一緒にいたのに
壁も何も遮る物が無いのに
私と君は
一緒に見つめた向こうよりも遠くにいるみたいなんだ


自由詩 N極 Copyright 長谷伸太 2004-03-13 00:58:31
notebook Home 戻る