汚いネオン街の上で



ひんやりした おんなのひとの細い指先を噛んで

ゆるくウェーブがかった髪のなかに  僕の手を差し込む

そう  こんな  汚いネオン街を見下ろす山道の中で

ぼくは  おんなのひとの中に入ってみたかったんだ

ゆるやかなくびれの腰の下にある

小さな入り口をそっとあけて

小さな  おうちに  帰りたかったんだ





ぼくのおなかに

おんなのひとの 鋭く尖った乳頭があたったとき

もしかしたら ぼくのからだが 滅ぼされてしまうんじゃないかって

少し  期待はしてみたけれど

むなしく ぼくは生き延びてしまった





そのあと ふたりで 

一本のセブンスターをわけあったら

ぼくのなかに おんなのひとの口紅が溶けていったから

ぼくはすこし うるおった

彼女はすこし 乾燥した

それからまた 会う約束をして
 
おんなのひとは 僕を また

汚いネオン街の中の 僕の家に連れ戻していった


自由詩 汚いネオン街の上で Copyright  2004-03-12 02:25:38
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