カーニヴァル
maumi

荷台に歌い娘を乗せて
進む先にカーニヴァル
陽に焼けた顔をヴェールで隠し
うつむいて旅の疲れを見せるジプシー
誰の顔にも笑みはない

荷台に歌い娘を乗せて
進む街にカーニヴァル
薄くぼやけた先に色とりどりの旗と
ゆるりと周る観覧車
アーチに彫られたcarnivalの文字
ジプシー達は前を向き
歌いだす

歌の裏に合わせた拍手のリズム
傷だらけのギターから奏でるのは情熱の歌
ひとりまたひとりと声を合わせていく

ここにいるのはジプシー
皆 親もなく名すらない
ここにいるのはジプシー
踊り子はおどり 歌い娘は歌う
盲目の占い師は
見えないがゆえに未来を当てる
何もないものは身体を売った

昨日見た夢の中には遠い国
そこには同じように踊り
歌いながら笑う子供がいた
そこは幸せが待ってますか

今日仲間が死んだ
裕福な背広から盗んだお金
見つかって撃たれて死んだ

ここにいるのはジプシー
皆 親もなく名すら知らない
ここにいるのはジプシー
安住の地に還るのは
言葉を失ったこのカーニヴァルの地

踊り子はおどり 歌い娘は
泣きながら 歌った



自由詩 カーニヴァル Copyright maumi 2006-08-29 21:15:24
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