夏夢幻
maumi

こぼれないように差し出す手を
すり抜けてはこぼれ落ちる
掴めそうで落ちるその砂を
握ってみてもそれはマボロシ

銀のアスファルトに咲いた花は
いずれ散りゆくようにその線の細さ
陽に当てる

狂い咲くように乱撃した向日葵には
この咲く花の今は知らない

やがて落ちる花弁の一つを
色を変えていく花びら
最後に伝う涙の色は
激しく燃えているのかもしれない

こぼれないように差し出す手を
すり抜けてはこぼれ落ちる
掴めそうで落ちるその雫を
握ってみてもそれはマボロシ

烏合のように咲き乱れた向日葵
落とされる首の音は鈍重な金槌
諦めたようにその頭を垂れ
最後の水を吸い上げた

銀の砂漠に咲いた花の細さ
この咲いた花の今は知らない

こぼれないように差し出す手を
すり抜けてはこぼれ落ちる
掴めそうで落ちるその雫を
握ってみてもそれはマボロシ

 


未詩・独白 夏夢幻 Copyright maumi 2006-08-24 20:41:56
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