封書
石畑由紀子

 
知られたい秘密だってある
けれど口を一の字に結んで
茶封筒と共謀し
あの人の妻 の
手元をすりぬける

キッチンのテーブルでは
ブティックのダイレクトメールが
あの人の妻 に
大声で話しかけていて

私も
葉書になりたい



寒い書斎で両耳をふさぎ
涙をこらえながら
あの人の帰りを待っている







自由詩 封書 Copyright 石畑由紀子 2004-03-06 01:11:11
notebook Home 戻る