レースフラッグ
たけ いたけ
風が叫びまくってる
声にならないその強烈な空気は
なんにもなくなってる僕の体を色づける
マシーンがひた走るアスファルトには
誰かの命も同じように走っていた
この不飽和で不純である世界は
いつも寄りかかりを求めていた
ら
閉館です
どうやら閉館日らしいのです
やって来た数人は
あっ
気にとられる
な、君
僕は何度も窓の裏側でひらひらする
カーテンを見たんだよ
空気はどこまでも繋がっていそうで
僕の体の中でもう止まっていた
淀んでいた
おはよう
と
行った瞬間でさえ止まることを知っていたし
分かっていた
ざわめきのどこを切り取ればいいのだろうか
いつも嘘ばかりが目だち
どうやら嘘つきは目立ちたがり
いつも切り取りに四苦八苦する
夜になればどうせ見えなくなるものだから
目立ちたがりも暇を持て余す
カレーライスたべよ
いまここでさ
何のためのカレーライスなのかは知らない
役に立つか立たぬか分からない
店員がレシートをヒラヒラさせた
引き伸びていく道路
どんな物体も伸びきって同じに見える
難しい漢字
難しいリンゴ
新しい石油
野球少年
レースフラッグ
止まっているのも悲しいけど
僕あしたあの草むらに帰りたいよ
そしたらさ
目蓋の上でレースフラッグをちらちら振っておくれよ