さようなら卒業証書
ゆりこ

黒い筒の中に入った卒業証書を昨日
僕はうちへ持って帰った

そいつは本当は
日の目をあびていたいんだろうけど
丸まって黒い筒に収まっているのが一般的で

そいつは本当は
沢山の視線を浴びたいんだろうけど
多分浴びるのは湿気った空気ばかりなわけで

そいつは本当は
僕の部屋の押入の中に思い出として置かれ
忘れられることを恐れているんだろうけど
実際問題 いつまでも思い出にしないわけにはいかない

だから

さようなら 卒業証書
僕は君をなるべく忘れない
僕の名を記した君が 僕の歴史にあることを

さようなら 卒業証書
僕は僕の歴史をなるべく忘れない
砂まみれになった運動靴
翌日になれば忘れた些細な悩み
腹を抱えて笑った冗談
先生に反抗したあの娘
そして
未来だと信じていた今日が昨日になったこと

僕は明日から新しい旅に出かける
さようなら さようなら



僕は最後に
僕の机に傷を付けた




     明
     日
     か
     ら
  2  初
  0  め
  0  の
  4  第
  年  一
     歩
  3
  月
  1
  日


自由詩 さようなら卒業証書 Copyright ゆりこ 2004-03-03 00:05:21
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