【短歌祭参加作品】青の墓場
一代 歩

思い出に、ゆかたの君が見たいだけ箱根温泉ゆあたりに風

きっかけがどこにあるのかわからない花火轟くまでの沈黙

ぎゅっと手を握る二人は蚊帳の中 外のすべてが愛しく見える



小学生みたいなことをしたくってプール帰りにかじったアイス



夕立が来るってわたし知っていた 明らかだった 隠そうとした

ためらいもなくTシャツを脱ぎ捨てた半裸のふたりためらいもなく

「三日月が夢だったの」と同じこと去年も言った君とすいかを

確実に生きてはいない人たちが眠る墓地にて 一代 歩

これ以上きっとないからもうここで冷凍都市に保存する夏



人生を長く続けてしまっても夏の青さは青いまま逝く


短歌 【短歌祭参加作品】青の墓場 Copyright 一代 歩 2006-07-30 00:03:52
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