青春
大覚アキラ

青春ということばの
苦さを
生臭さを
奥歯で力いっぱい噛み締めて

そこからまず
おれは
今朝の一歩目を踏み出すことにする

まるで素っ裸で歩いているみたいな
頼りなく
恥ずかしさに満ちて
それでいて
身体中の毛穴が一気に開いていくような
心地良さ

おれは今
体験したことのない速度の
恐怖と快感に蹂躙されている
緩慢な肉体だ

おれは今
生まれて初めて踏む土の
湿気を帯びた感触を
確かめる子どもだ

喉の底の方から
鼻に突き抜ける刺激に
涙を流しながら

青春

と呟いてみたら
身体中が震えて
思い切り派手に転んだ

膝から流れる血は
一向に止まりそうもなかった


自由詩 青春 Copyright 大覚アキラ 2006-07-27 13:38:58
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