女という未知
きりえしふみ

女は宛ら 一室の部屋だ
好きな男好みに 設(しつら)えられた
日々模様替えする 夜々配置換えする
九十九を過ぎた婆さえも 「あれまあ不思議!」と云うような
女は部屋の 一室である
想い人あらば その戸、頑なに閉じられ
想い人欲しくば それと無く 戸締まりを忘れる
ような その部屋
女と言う者は そのように
宵待草宛らにいて 純真に
恋を待ち構え 咲いている花のようである

女は宛ら 花のようである
太陽のあなたを目指しては 伸びをする花のようだ
顧みてやらねば しょ気て
振り返れば にこにこしている
(但し それは愛する男に限る)
飴だけやっても 高飛車になる
連れて行かねば 臍を曲げる
女というやつは ほんに難解でいて 実に簡易だ
たった一つの要点が 押さえ切れないばっかりに
未だ明かされぬ
女の人は 宛ら謎のようである

そして女は 全てが潜んでいる夜だ
綺麗な星も 緩やかな川、なだらかな山も 獣の咆哮も
内向している 広がり続ける宇宙である

広い世界を旅する男にとっての
女は宛ら 帰るべき部屋
訪ね行く 宛ら新たに広がる世界である

©shifumi_kirye 2006/07/19


自由詩 女という未知 Copyright きりえしふみ 2006-07-19 23:15:55
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