喫茶店プラネタリウム
狩心

老人が時代のブームに乗っかって 変な名前の喫茶店を開いた
老人は寂しかった 妻に先立たれ 一人ぼっち
喫茶店には人が集まる 活気に満ち溢れる店内
そのざわめきが 老人の心を癒し 笑顔を取り戻す要因になった
今日も老人は 若者達の会話に耳を傾ける
若者達の姿に 自分をシンクロさせていく

  *     *     *

今日は晴れ  「晴れ」って何?
天気が良いことだよ  「良い」って何?
望ましい状態を広くいう語だよ  「状態」って何?
変化する物事の その時その時の様子だよ  「変化」って何?
ある物事が それまでとは違う状態や性質になることだよ
「状態」を説明するのに「変化」っていう言葉を使って
「変化」を説明するのに「状態」っていう言葉を使うなんて
そんなの変だよ どっちがニワトリでどっちがタマゴなのかしら
じゃあ「性質」って何?
他のものと区別しうる そのもの本来の在り方だよ
じゃあ 今使っている言葉の意味はいつか「変化」して
今までの「性質」を失った「状態」になる可能性もあるの?
うん あるよ。

あーなんかややこしいわ〜 頭こんがらがってきちゃった
わたし馬鹿だから 話があっちこっち飛ぶんだけど
国語辞典を読み綴っていくと変な気分になるのね でね でね
言葉を言葉で支える事は比較や比喩にしかならないんじゃないかな
って思うのよ! どうこれ? イケテル?
鋭い発見だと思わない? わたしって天才 にゃはは〜☆
自己完結の一人舞台かw 特攻野郎Aチームだなw
俺の母ちゃんみたいなマシンガントークだよ 先が思いやられるぜw
でね 続きがあるんだけどね・・・聞いてくれる?
ありゃま まだ続きがありましたかw
うん いいよ。

もし モノがなくて 言葉だけの世界があるとしたら
一体どの言葉が一番はじめに生まれるんだろう
やっぱり 言葉が生まれる前に モノがあったんだよね?
言葉をモノのイメージで支える事が言葉のはじまりなのかな
いや違うわ! その逆よ モノを言葉で支える事がはじまりだよ たぶん
じゃあさ なんで昔の偉人さんたちは 言葉で世界のはじまりを模索したのかな
言葉よりも古くからあるモノを使った方が より原始に近いんじゃないかな?
ホントよくしゃべるなぁ(笑) まったくエネルギッシュなお姫様だよ
んーどうだろうね 今のところは 言葉とモノの両方を使ってるんじゃん?
使えるものは全て使え 何が何でも突破しろ というお告げでもあったんだろう
言葉を忌み嫌って 言葉の通用しない世界に向かう人も少なくないだろうよ
極力思考せず 無心になって 体を動かし続けたら分かる事 もあるだろうね
言葉って「自分」を含めた「他者」に何かを伝える為の手段なの?
そうだと思うよ。

わたしの言葉を聞いて一体あなたに何が伝わったのかな

(( 君はいつも 元気一杯で 好奇心旺盛で 縦横無尽の話し手。僕はいつも聞き手。
(( 時々、僕が反対の意見を立派に言うと 君はしょんぼり黙りこくって・・・
(( もしかしたら君は 僕に合わせようと 一生懸命背伸びをしているのかもしれない
(( 君は考えている 外界を他者を どうやって受け入れればいいのかを
(( でもそこは入り口で 本当はもっと深い暗黒の迷宮が潜んでいて 安心は遠い彼方
(( 僕は口が裂けても その辛く悲しい事実の世界に 君を引き込む気には なれない
(( 君は・・・変わらぬ確かな真実が欲しいと願っている 僕はそれに応えたい
(( ここに提案がある 僕は君よりも先には死なない 僕は君を一人にはしない
(( その事実が君にとっての不変的な真実になればいいなと 僕は考えている
(( 僕がなぜ生まれたのか 宇宙の真理はどうなっているのか そんな事は分からない
(( でも僕は信じている 少なくとも僕にだって 君を幸せにする事が出来るはずだと

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   ここは 喫茶店プラネタリウム  星のかけら 瞬いている

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自由詩 喫茶店プラネタリウム Copyright 狩心 2006-07-13 23:05:12
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