春の扉
まんぼう

思いっきり身震いしたら
壊れてしまうかと思っていた
田舎町に
今ではすっかり馴染んで仕舞い

若かったゴジラ達も
皆立派な町の世話役となり
ズルズル引きずっている

逞しい尻尾に気づきもしない

暖かい陽の光と
まだ寒い春の風に
おおきな背中を丸めて
町内会の打合わせや
何か暖めるように
小さな焔を吐きながら
通りがかりに

よっ、と嬉しそうに笑いかける

こんな黄砂の日は
遠くに何かが霞んで見えたり
もったいないような
桜色の情念すら感じさせるが

ドンドンと尻尾を打ち振りながら

いつかの春へとつづく
緑色の扉を開けて
ボンヤリ明るい露地の奥に
歩いていくのだ


自由詩 春の扉 Copyright まんぼう 2004-02-27 07:39:13
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