ぽえむ君−風鈴−
ぽえむ君
ぼくは詩を書きたい
あるべき姿は
あるべき所に立ってこそ
あるべき姿になる
今日もまた
朝の散歩をしていると
風鈴に出会いました
林の中に風鈴が落ちていたので
そっと持ち上げて
木の枝にかけてあげました
風のない場所なので
音は鳴らない
それでもその風鈴は
風鈴としての元来の状態に
襟を正すように
あるべき姿で誇らしげに
林の中に立ち尽くす
もとの道へ戻ろうとしたとき
微かに
チリーン
あるべき音が鳴る
風のない
暑い朝に風鈴が鳴る
風のない
ぼくの心に鳴る
明日もまた
語るための詩ではなく
黙らせるための詩を作りたい