ラブストーリィと現実
山内緋呂子


くるくるまわる君
椅子に座って 腿とふくらはぎがくっついた君の部分
遠くから見ると薄いのに 近くで見ると厚い 君のくちびる
目の下から顎にかけて、平坦な肉の君
携帯ストラップについたお金持ちになれるタイガーアイ1つ分の君の爪
ラズベリーが好きなのではなく
ちいさい球体のあつまりが好きで よく食べる君
食べものを「やわらかいから おいしい」と言う君

ごめんなさい君
スプリング付きジョニー・デップに見えるよ


私はあなたに流れる血・怒り・嘔吐から
目をそらしてしまうよ

今 喫茶店でかかる 小坂明子「あなた」に泣き
ピンク電話にむかって
「リピートしてくれ」と立ち上がって ゆさぶりそうだけれども
これは ジュークボックスではない
公衆電話だ

私は立ち上がりも揺さぶりもしないし
こうして止めることを考えています

申し訳ない 君




#わたくし、カンチェルスキスさんによって、ことばの生理が始まってしまいました。まもなく彼と連散文(何でも「連」つけりゃいいってもんでないが)を開始いたします。これは、その前にわたしがどうしようもなくフライングしてしまった文章です。


散文(批評随筆小説等) ラブストーリィと現実 Copyright 山内緋呂子 2004-02-24 22:56:25
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