緑のために
佐々宝砂

温室の入口にある日章旗の
赤い円を凝視する。
凝視する。
ツと目を逸らすと、
隠された神の緑があらわれる。

それで緑のためには赤が必要なのだと知った。

穴を掘るのは重労働だが
いつものことだ。もう慣れた。
穴にはいつものように贄を放りこむ。

失禁のため黄ばんだスカートは気に入らないが
くまなく赤く染まったブラウスはすばらしい、
神はそれをお気に召すだろう。



6月21日. 2001


自由詩 緑のために Copyright 佐々宝砂 2006-06-21 22:19:03
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