風のはさみ(言葉の蜂起より)
セイミー

明日を切る風のはさみ
張りつめた曲線の中の真っ青な空の
弾け飛ぶツバメの血染めの汗の
かたわらの黄色い太陽のプロミネンスの
ちょうど消え入るあたりに響く音影の
ピアノ線の束の太い声の
押し殺したような恋歌の
涙にぬれた夕暮れの
遠いしじまに群れ立つ鳥の
それらすべての心臓部分を
ぼくは
紐のように引き出したのだ

言葉はみな袋小路に集められ
ひとつひとつ銃殺されている

同胞よ
赤い石畳の路地裏に集まって
署名しよう
使い慣れた一言を
未来に向かって芽吹かせよう
鉛筆の芯を抜き取って
東の空に高く飾ろう

明日を切る風のはさみ
その重なり合うあたり
ほの暗く宇宙塵が降り積もる
時間を
右手の人差し指で絡め取っていくと
銃声は折れた金属片の形で
積まれた本の上に突き刺さる
弦のように
言葉は引き絞られたまま


自由詩 風のはさみ(言葉の蜂起より) Copyright セイミー 2006-05-14 01:37:28
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