人種差別を揺るがすもの。無邪気な情熱。
虹村 凌

またもどうでもいいことを勝手に書きたいと思う。
以前から、人種差別する人間で知られている俺だが、
「また今回もかよ」って程度で読んでくれて良い。

最近、語学学校に来た韓国人がいるのだが、なかなか良い奴だ。
17歳で、高校は一ヶ月しか行ってなくて、
日本で言う大検みたいなのを取得したそうだ。
親が海外に行かせるらしく、本人も乗り気で、いろいろと世界を見て回ってるらしい。

何でも日本が大好きで、日本人とよくつるむ。
積極的に日本人に混ざろうとする。
でね、自由奔放で、無邪気で可愛いんだよね。男だけど。
ヒロトに似てるし(誰にも同意されないがな。

俺は韓国人が嫌いだ、と今でも思うし、今でも言える。

ヒロト似の韓国人(以下ヒロト)いわく、
親日的な韓国人と反日的な韓国人の割合は半々程度の割合だそうだ。
そんな事を、本当に無邪気に言うのだ。
確かに一部の韓国人の所為にして、俺は韓国を、韓国人を嫌っている。
だが、この無邪気な情熱を前にすると、俺は戸惑うのだ。
彼がモノを知らない訳じゃあるまい。
自分が無い訳じゃあるまい。
本当に日本が好きなのだろう。
その無邪気さの前に、俺はどうする事も出来ないのだ。

一部の韓国人の所為で、俺が韓国や韓国人を嫌うように、
一部の日本人の所為で、奴らは日本や日本人を嫌うのだろう。
永遠に和解などしないだろう。
白人は黒人をコケにしつづけ、黒人は黄色を馬鹿にするんだろう。
黄色は白人に憧れつづけ、黒人に憧れ続けるのだろう。
それでも、無邪気な情熱を前にすると、何かが変わる気がするのだ。

俺が何かを出来るかといわれれば、そうじゃないのだ。
ただ、自分の中で何かが変わるのである。

相変わらず俺は韓国人が嫌いだ。韓国が嫌いだ。
言い聞かせるように、そう、まるで自分に思い込ませるように、
俺はそう言い続ける。思い続ける。

恐怖。
俺は未だにショーンを見ていないが、あいつが変わらずに帰ってきたら、
俺は韓国を、韓国人を、信じても良い気がするんだ。
ヒロトが兵役に行っても、変わっていなかったら、
俺は韓国を、韓国人を、好きになっても良い気がするんだ。
でももし変わってしまったら、俺は一生信じられないし、好きになれないだろう。
それが恐怖なんだ。

ヒーロー。
イチローはヒーローだ。でも野茂がいなけりゃイチローだって…。
ヒーロー。
ヒーロー。
それでもイチローは韓国じゃ嫌われもんになっちまった。
たかだかWBCの為に、アジアの誇りから、敵になっちまった。

俺だってイチローと変わらないだろう。口を慎むべきだろう。
でも言える事がある。
変われそうな気がするんだ。
ショーンとヒロトに、全てを任せるんじゃなくって、
それと取っ掛かりに、信じてみたい気がするんだ。

ファック。
間に合うだろうか。遅くないだろうか。
不安で仕方ない。

俺は人種差別をする人間だ。
クソくらえ、だぜ。
畜生。
クソくらえだぜ。
世界平和なんて、みんなで仲良く手をつなげる日なんて、ありゃしねぇんだ。
それでも、信じていい気がするんだ。

無邪気な情熱の前に、俺は揺れているのだよ。
笑うがいい。
あれだけコケにしたのに、揺れているのだよ。
あれだけ馬鹿にしたのに、揺れているのだよ。
無様だろう。これが結果なのだよ。

畜生。


散文(批評随筆小説等) 人種差別を揺るがすもの。無邪気な情熱。 Copyright 虹村 凌 2006-04-21 13:36:36
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