陸地
黒田康之

僕の足元には陸地がある
足の裏からじりじりと広がってゆくこの陸地は明らかに僕のものだ
陸地は遥か彼方から何かしらの交点をいつしか引き連れてくる
それは君の陸地であり彼の陸地であり、誰かの陸地であるのだ
僕の陸地は広がるとともに川が流れ、山が立ち上がった
見る見るうちに花が咲き、人々が生活を始める
それでも僕の陸地は僕のもので
それははっきりとあなたのものではない
交点は遠くから湧き上がって
僕をかすめて通り過ぎる
この陸地は僕の陸地だ
そしてあの交点の向こうには彼の陸地があって
それは僕には見えはしない
それでも僕の陸地は
何らかの交点が通り過ぎるたびに
たくさんの時間を生産する
この陸地は僕の陸地だ
あの交点の向こうが
彼の
そしてあなたの陸地であるように


自由詩 陸地 Copyright 黒田康之 2006-03-25 14:28:57
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