銀と黒と砂嵐の番人
麒麟

反射する銀と、吸い込む黒、なめらかな砂漠
広大な二対の砂嵐がぶつかり
境界で色を溶かし合いながら混じり合う
大地が裂けてずれ合う様な音を鳴らしながら

二対の中央の足元、無風の空間に
黒コートの男が立っている
その手の上に空の砂時計を置き
もう片方の細長い腕をポケットに入れたまま

キシリと罅が入り、その形は崩れ
また一つ時計が壊れた
仕舞っていたポケットから
また一つ、空の砂時計を取り出した

姿を失って初めて
その残骸には砂が入る
霞んでいく黒
それは夜の始まり



自由詩 銀と黒と砂嵐の番人 Copyright 麒麟 2006-03-24 02:01:17
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