風底五目
黒川排除 (oldsoup)

かたいあるじと手をつなぐ空の犬小屋まで

浅い海で輪ゴム飛ばしあう劣化して

青空を刺し上げる丘だ隠れようがない

愛した子に顔を傾けくすぶる藁

コップに入れて置いてある妹の色水

海辺倒れた少女のこめかみから日の出

なふたれんかがんでかぐみずから落として

策略に満ちた駆け引きその一歩目に灰があり

原子炉へ白く したたるほどに

あかるい夜道だから二周した

僧みなあやしくフォークを使いおり日食

門を移すことばかり考え庭の伯爵

古い木みだりに平手で打つな新しくなるぞ

天井を叩く音がする、雪だ

胃からベルの音し感覚器たれば盲目

赤い石あり明らかに塗られ没後の河原

笛吹きの上体見失う滝壺

歩き方を知らぬ雛プレス機の鉄風で吹き飛ぶ

類の本刺せば流れてくる呪文

空の桶には寿司が入っていたと遺族会


川柳 風底五目 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-03-17 04:26:03
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