冬の喪失
たりぽん(大理 奔)

奪われていくだけで
体の細い先っぽから熱
低い空に流れていく
雲に穿たれた青空

なくなってから知るのだと
ひとは言うけれど
得てすらいないのだ
失う事すらできないのだ

  小舟が防波堤を去っていく
  灰緑色の波にもだえながら
  それは僕のようであるけれど
  まったく僕の窓の外

失っても いないなら
哀しいこと もない
鼓動のように何度も
言い聞かせても

そう言い聞かせても




自由詩 冬の喪失 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-02-15 23:27:11
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