誰もが手を取り合って笑顔で暮らせる世界を。
ナイチンゲール

「私はね。人なんてみんな同じような能力しか持っていないと思っているんですよ。
出会った人やきっかけによって得た力を自分だけの特別な力だと錯覚しない限り」

松本清張「けものみち」の第一回目で登場人物の一人が
これと似たようなことを言っていた。僕はその通りだと頷いた。

けれどもたまたまテレビでやっていた「記憶のチカラ」という番組で
IQ150以上の人間がいる現実を見た。

本を読むとそのページに書かれていた文章全てを覚えてしまうことができる。
実に素晴らしい能力だと思った。

そんな能力があったら頭の中を有名な小説の文章で一杯にできる。
そしたらこの世界で一番優れた小説を書くことだってできるはずだ。

誰でもが真似できるものではない特別な力が確かにこの世界に存在している。
練習や鍛錬では決してたどり着けない才能という壁。天才と呼ばれる存在。

まさにその特別な力を振るうために生まれた存在。
運命によってそのように仕組まれたとしか説明できない存在。

一方でみんながやっている事を自分も同じようにする事ができる人間がいる。
多くの人がそうである人間のコモンタイプ。凡人と呼ばれる存在。

周りの環境に順応し完全に適応できる存在。
名もなき人と呼ばれ、まとめて他の人と一緒に数えられる存在。

存在価値を傷つけられて天才を憎む凡人。
自分の存在を否定されて凡人を憎む天才。

僕だって自分より能力がある人間は嫌いだし、
自分だけ蔑まれるのにも我慢ならない。

スケールは違えど人の集まる場所にはどこへ行ってもこういう図式が出来上がっている。
人という生き物は生まれながらにして互いを傷つけあう存在なのだろう。

そんな互いを傷つけあわなければ生きていけない人とが手を取り合って仲良く暮らす。
そんなのはただの理想なのかもしれない。けれども人類はそれを目指しているはずだ。

そんな自分たちの進むべき未来のプランをしっかりと示すためにも。
僕はやはり理想を描こうと決めた。誰もが手を取り合って笑顔で暮らせる世界を。

今夜はたまたまつけていたテレビを見て、そんなことを考えた。


未詩・独白 誰もが手を取り合って笑顔で暮らせる世界を。 Copyright ナイチンゲール 2006-02-11 20:26:45
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