記念碑、月に埋もれて
たりぽん(大理 奔)

永遠の愛、が
刻まれていた
赤い鉱物顔料で飾られて
二千年の地層の中
地中にしみこんだ月の光で
風化した言葉だったから
秘密が解かれるまでそれは
王の名
呪い
花の名前
祈り
そんなもの

石版は博物館の中庭
誰かへの永遠の誓いを
静かに放ってはいたが
驟雨や季節風が
つぶやきを聴くことはなく

いにしえびとよ
赤い文字からにじみ出す
月の光に風化した響きで
今も誓っているだろうか

 愛を
 永遠なんて言わない
 化石になった言葉は
 どんなに技巧を凝らして
 美しくても
 神の名よりも軽薄で嘘っぱち
 だから

伝えるならば
今、轟き、照らす
雪がつれてきた
天地をつなぐ稲妻のように
もらった淋しさを
燃やして
あなたごとあなたを
つらぬきたい
その一瞬の無限






自由詩 記念碑、月に埋もれて Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-02-11 19:51:56
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