とりたちの星座盤をまわして
たりぽん(大理 奔)

行方もない風たちを
帆にはらませて
もう帰らない船の
船笛の消えていく先
短い呪文
アストロラーべ

二人の旅路を
羊皮紙に書き出しても
深海の底に
沈む姿があって
透明な海藻に
舵は絡めとられ

  巨きな鳥の影が
  とるぅぅぅ と啼いているので
  港が近いなどと
  どうして
  思ってしまったのだろう

風の教える先を見ようと
海に碧を落とす空を
見上げても
雲のたなびく気圏の先は
もう宇宙なので
魚達にはわからない

鳥よ教えて
おまえたちの星座を
おまえたちの星図を


  短い呪文
  唱えながら
  海に漆を落とす夜空
  見上げて
  もう帰らない船は
  ぎぎぃぃぃと
  船首を
  みなみのさんかく
  に向ける





自由詩 とりたちの星座盤をまわして Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-01-28 16:18:54
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