或る日の凍裂
たりぽん(大理 奔)

ひどく壊れた
短笛ピッコロの夜
胸の隙間にしみこんで
かたく凍った涙が
この身を裂く音

修行者のように
振り仰いだまま
静寂に刻む
生きたまま
この身を裂く音

  わずかに震え
  振り落とす粉雪

呼べない名前にかえて
伝えない気持ちにかえて
命にかえて
遠くに
遠くに届け
と響く

無限に凍る刹那
生きたまま
この身を裂きながら






凍裂:冬季の低温により水分が凍結膨張することで、樹木の樹幹が縦方向に割れる現象。霜割れ、霜裂、寒裂とも呼ばれる。



自由詩 或る日の凍裂 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-01-18 22:35:09
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