まほろば
maumi
足並み揃えて歩く新兵さんは
どこか物悲しげで
それを見送る白いドレスの女の子は
真っ赤な唇で こう叫ぶのさ
「私の元へ帰ってきて」
カメラを覗いている若者は
小さな硝子越しに見る世界に
涙流しながら時を写し込み
今はその場から血を流して動かない
13歳で子供を産んだママは
自分のママを探していて
渋谷で蠢いている若者は
自分の親さえいらないと言っている
おかしくないか この世界
顔も知らない女の子
僕の彼女と紹介する友達は
指した指が画面だということに
未だに気付かないでいる
幸せを願い若者は信じた
たくさんの命を奪い取る液体
信じる心を利用されたことに
気付かないで今日も
祈りを捧げようとしている
青い目をした人達は
平等と叫びながら
支配ゲームの勝利者になった
おかしくないか この世界
今日も手首を切った少女は
切った事実より自分が生きてる史実に
パニックを起してる
3人で車の中で死のうとした内の1人は
本当に死のうなんて思っていなかったんだ
今日もニュースキャスターは
その端正な顔立ちで
他人が死んだことを人ゴトのように伝えていて
僕は何て思えばいいのか考えている
声の出せない人達は携帯電話の
一部しか興味がなくなって
ボタンを押しつづけ
今日も1日が過ぎていく
革命を訴えたヒゲのおじさんは
何人も殺しヒーローになった
今日もどこかで人が死んでいく
今日もどこかで子供が死んでいく
どこかおかしくないか この世界
自由詩
まほろば
Copyright
maumi
2006-01-06 23:36:52
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