終わりの続き
石畑由紀子


箸を持って近づいてみたら
じいちゃんの骨はほとんど残ってなかった
焼き時間を間違ったんだって
ママとママの姉弟は泣き崩れて
火葬場の人は床につくくらい頭を下げていて
あたしは用事のなくなった箸をカチカチ鳴らした
みんな泣きながら両手で灰をかき集めて
箱に入れて儀式は終わり

じいちゃん
箱に入って終わり
終わり?

納骨堂では一足早く箱に入ってたばあちゃんが
嬉しそうに待っていた
じいちゃんは箱の中で
ずいぶん待ったかい? とか言ってるのかも
親子ほど歳が離れてしまって
少し照れくさそうに
漢字だらけの表札を並べて

家に戻ってもママとママの姉弟はまだ泣きやまなくて
市に抗議文を書くとか話してた
その夜あたしはずいぶんと深く眠って
夢も見なくって



その日以来 学校で友達に
ユッコってば急にじじくさくなったよって言われる




自由詩 終わりの続き Copyright 石畑由紀子 2004-01-23 00:47:28
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