子守唄
プテラノドン

子守唄のおかげで眠ったばかりの男が、
夢の中でも子守唄を要求している―

部屋の中をさまよっては壁にぶつかり
青白い火花を散らすブリキのこうもり。
それと一緒に地下室にしまわれていた、
未来を予見する大きな鏡に、
真っ白な楽譜が浮かび上がる。
それは単調な旋律。遥かな世界へと通じる
くすんだ扉をノックするような。
あるいは彼女が唄うなら、
かろうじて残された弦で弾かれる、幻のような旋律。
おそらく男の耳が二つともなかったら
本当に幻にだったかもしれない。
けれども彼は木馬を操るように飽きもせず、
目覚めたままいびきをかいて、時計が悲鳴をあげるまで
様々な寝言を呟き続けるが、子守唄にはならない。



自由詩 子守唄 Copyright プテラノドン 2005-11-19 02:46:03
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