ばおばぶ
大覚アキラ

ばおばぶ ばおばぶ

奇妙な形の樹木の名前を呟きながら
帰り道は足元しか見ないで大急ぎで帰る

ばおばぶ ばおばぶ

自動改札で定期が向こう側に吐き出されるよりも素早く
改札を通り抜けることに挑戦するのだ

ばおばぶ ばおばぶ

白線の内側までお下がりください
というアナウンスを聴きながら白線の上を流れるように歩く

ばおばぶ ばおばぶ

奇妙な形の樹木の名前は
口の中ですっかりとろけて蜂蜜のようになりつつある

ばおばぶ ばおばぶ

家に帰ると妻はこんがり焼けたトーストを皿に載せて待っている
娘は焼きたてのホットケーキを皿に載せて待っている

ばおばぶ ばおばぶ

お待たせハイどうぞと言いながらぼくは口から
蜂蜜のようにとろけた奇妙な形の樹木の名前を吐き出す

ばおばぶ ばおばぶ

妻と娘はそれをトーストとホットケーキにたっぷりとつけて
大喜びで食べるのだそれはそれは美味しそうに

ばおばぶ ばおばぶ


自由詩 ばおばぶ Copyright 大覚アキラ 2005-11-14 18:09:38
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