サボテン
霜天

一日はそのように始まって
一日はそのように終わっていく
きっと



部屋の隅、テレビの上
ほんの少しの暖かさ、の裏側で
空が重心を失って色を零していく
十時十分
並んでいる時計の街の角
そこだけは世界が切り取られている
いつまでも変わらない一日と
いつでも変わっていける一日


光は点になって、光は線になって
歩道橋の下、いつまでも繋がっていける人たちの
光線
眺めれば眺めるほど昨日よりも複雑で
手を伸ばして、手を伸ばしてすくい取る
光は手のひらの上で震えると
またどこかへ繋がろうとする



いつの間にか空っぽになってしまった手のひらのその寂しげな一日の様子
いつからか動き出したサボテンの定位置は決まって行き場を失った廊下の隅
少し膨れて針を見せびらかす触れば少し痛かったこと、その指先
テレビの上暖かい部屋の隅、間違えそうになる足を抱えてまた少し眠る
そんな



部屋の隅へ
光が差し込む
歩道橋の上へ
光が差し込む
逃げるようにして解けていく光線に
もう一度手を、差し込む
引きずられるようにして流されていきながら
そのように一日が、閉じる


自由詩 サボテン Copyright 霜天 2005-10-21 00:07:10
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