みぎて
暗闇れもん

手のひらに握っています

揺られるバスの中でも
校則の厳しい学校の中でも

わたしは模範生です

けれど先生方には嫌われています

わたしが右手を決して開かないからです

左利きですので不自由では無いのですが

何度注意を受けても手を開かないからです

校則の中に無いので

決してわたしが世間で言う不良というわけではありません


ただ右手を開きたくないのです


お風呂に入るときも
ご飯を食べるときも
眠るときも


右手を開きたくないのです


父も兄も必死にわたしの手を開こうとするのですが


その度にわたしは必死に抵抗します


右手を開きたくないのです


いえ、開くのが怖いのです


出て行った母の住所があるから


自由詩 みぎて Copyright 暗闇れもん 2004-01-07 23:31:09
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