みぎて
暗闇れもん
手のひらに握っています
揺られるバスの中でも
校則の厳しい学校の中でも
わたしは模範生です
けれど先生方には嫌われています
わたしが右手を決して開かないからです
左利きですので不自由では無いのですが
何度注意を受けても手を開かないからです
校則の中に無いので
決してわたしが世間で言う不良というわけではありません
ただ右手を開きたくないのです
お風呂に入るときも
ご飯を食べるときも
眠るときも
右手を開きたくないのです
父も兄も必死にわたしの手を開こうとするのですが
その度にわたしは必死に抵抗します
右手を開きたくないのです
いえ、開くのが怖いのです
出て行った母の住所があるから