ボクのお母さんからはロケットが出るんだ
仲本いすら

僕のお母さんからは ロケットが出るんだ

小さい頃 そう歌ってた記憶がよみがえって来たんだ

作詞も 作曲も 全部僕で
ずっとずっと、歌ってた気がする

僕のお母さんからは ロケットが出るんだ

でも 出てきたのは
血塗れになって 産声をあげぬ
冷たくなった 僕の妹だったんだ

僕のお母さんからは ロケットが出てくるんだ

お母さんの おなかが小さくなったのは
ロケットが 宇宙に旅立ったから

本当に旅立ったのは 幼い命だったけれど

そのころの僕は 無知で
ごめんよ 儚い命 尊い命
僕の 妹。

僕は知らずに ロケットが宇宙にいったことを
喜んでいたんだ
ああ、ごめんよ ごめんよ

僕の 大事な 妹よ

僕の…ロケット…

僕は なにも知らなかったんだ



僕のお母さんからは ロケットが出てくるんだ

まっくら くらやみの 星にひとつ

『かおり』と名付けて もちろん明星に

僕のお母さんからは ロケットが出てきたんだ


僕の。


嗚呼・・・。




自由詩 ボクのお母さんからはロケットが出るんだ Copyright 仲本いすら 2005-10-04 19:00:08
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