失策レジスタンス
kw

石灰撒かれた道路の横脇に
死したサンゴ礁のビルが立ち並ぶ
昨日までは
窓枠にガラスが嵌められ
全てに明かりが灯っていたのに
今や
粉々に砕かれた透明な破片
玉をくり抜いた眼窩の奥

つむじから足指まで覆い隠す
黒い布
ブルカかローブか
巡礼の女
微風に波を描き舞う衣装
進路を阻む塞ぐ車はない
操縦士は絶えたから
一点に目指す
赤い夕陽

滅びた街に
鎮魂歌が流れる
無意識の空歌
それとも
空気に焼きつかれた遺影の
ポルターガイスト現象

風強く
裾舞い上がり
腰に括り付けられた爆弾が露になる
スカスカの焼骨転がる
街は完全に破壊尽くされていない
入れ替わる陽と月


月に向かって爆弾投擲し
泣いた
命は人間のものだけでないと知る


自由詩 失策レジスタンス Copyright kw 2005-09-22 14:27:59
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