明日からやって来ました
服部聖一

空を泳ぐ鳥たちでさえ
死はいつも地上のある

明るすぎる地下に雨は降らない
きのうの洗濯物を今日の朝日に干す
明日は雨らしい

シャツには見覚えのない涙の跡がついている
毎日クスリを飲みつづける犬が
枕元で懸命に手足を動かしている
今日もつらい夢を見ているのだろう
力の入った かたい背中をなでる なでる

24時を地下ですぎる
雨は降らない
ぬれた傘からコンクリートの床にしずくが垂れる
飛ぶ鳥の影が 頭上を一瞬すぎる
明日の日付がめまいする

はるかにつづく地下のトンネルを
くぐりぬけ
地下鉄でくぐりぬけ
くぐりぬけ
傘をくるくる回し
うたた寝をして
地上に出ると
雨と土のにおいがした


自由詩 明日からやって来ました Copyright 服部聖一 2005-09-22 00:19:20
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