駅:大和西大寺
たりぽん(大理 奔)

  もっとも遠く、旅した者が
  偉大な旅人なのだとすれば
  それは
  鉄路の地下に
  埋もれた大路を
  使者に運ばれて通った
  ペルシア細工かも知れない

この駅を出て
各駅停車は東へ向かう
壮麗な死者の宮跡に
飛び交う渡り鳥を
黄朽葉に染める
いにしえの落陽

神話を孕む南の都
いまも息づく北の都
そして旅人は今、西の都から

全ての時代が入り交じり
永遠はないという憂鬱を
水鳥は切り裂きながら
 夕刻
垂仁天皇陵へ舞い飛ぶ

  その行方を朱雀門の向こう
  青垣に馳せながら

各駅停車は
壮大な旅の真上で
短い旅路を繰り返す
愚かな旅人達をのせて
ガタゴトと
終着駅へ





自由詩 駅:大和西大寺 Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-09-02 21:01:28
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。