「私は眺め・禁止し・許す」
kay

-踏み切り-

たまに思うことがある
毎日は同じことの繰り返しだ
例えば私が竹ざおを黄色と黒ではなく
白とか青とかグレーと紫とか
そんな色で塗られていたとしても
同じように皆閉じていれば立ち止まり
轟音が過ぎて開けば通るだろう
幸運な事に私にはついていないが
黄色いビニールのフリンジがヒラヒラ付いてるやつもいる
あれはいけない
妙に派手でいけない
しかしどうだろう
あれが腰蓑で出来ていたら
気まぐれに赤いハイビスカスを投げてゆく
南国の少女が通りかかったり
薄紫のブーゲンビリアを挿してくれる
出稼ぎの少年が立ち止まるかもしれない
そしたら私はカンカン言う替わりに
アロハオエ〜と
叫びだせるのに
アロハオエ〜アロハオエ〜
轟音に掻き消されない私のアロハオエ〜に合わせて
立ち止まってる人々はフラ〜フラ〜と
ダンスを踊ってくれたりして
それはとても楽しそうだ
私にフリンジがついていないのは
最大の不運だったかもしれないな
踊る人の群れを走り去りながら
ファイヤーダンスのリズムにあわせて
電車はピンクの花のレイを投げてくれただろうに

しかし
それも毎日であったなら
同じことの繰り返しだと
私は赤と緑の目をしばたかせながら
電車の風圧にまぎれてため息を一つついてみる
もう皆通ってもいいよ


自由詩 「私は眺め・禁止し・許す」 Copyright kay 2003-12-24 00:31:11
notebook Home 戻る