踏切にて
たりぽん(大理 奔)

窓風に
遮断機の音
終電が出たあとに
こんな音を鳴らすのは
長距離貨物か寝台急行か
レールの隙間につまづきながら

(一日、伏せてたのかい、それはしんどかったね)

それが見知らぬ場所であるなら連れて行って欲しい
少年の日のように乗車券も持たず旅立ちたい
耳を澄まして、遮断機の前で立ち尽くす

(あんまりな熱だね。医者を呼ぼうか?)

はっと目を醒ます鋭い汽笛
ここは、高架ばかりの街
何処にも踏切などなく
連れて行ってくれる
急行も、今はない

(それとも、薬をもらおうか)

胸の奥
鐘を
鐘を
鐘を

   鐘を遮断機が打ち鳴らす









2004年10月12日 投稿「踏切」  推敲再掲 



自由詩 踏切にて Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-08-16 22:49:13
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。